「アート」としての「被災地バケツリレー」
被災地では、物を順番に送る、いわゆる「バケツリレー」(バケレ)が多用されます。し、多用されるべきです。
実際に門前町で片付けのお手伝いしていると、随所で「バケレ組めたら楽なんだけどな…」という局面に遭遇します。ここでバケツリレーに関する誤解を3つ。
誤)バケレは、人数が必要 → 正)5名でできます。泥出しぐらいなら軽トラまで積めちゃうことも。
誤)バケレは、移動距離がないと意味ない →正)短くても有効です。というか、軽トラまでとか、瓦礫置き場に下ろすだけでも有効です。
誤)バケレは、量がないと意味がない →正)少なくでも有効です。サッと並んでサッとやるぐらいでも、5分で終わっても劇的に変わります。
バケツリレーというと、「大量・広範囲・長時間」というイメージの方も多いと思いますが、あれは自衛隊や消防団さんなど「均一で大量の戦力」がいる場合の大量搬送法です。「被災地バケレ」は性格が異なります。
・少しでも疲労度を低減=被災地支援は連日の長期戦です。サイヤ人状態は長くは続きません。ちょっとした疲労でも避けましょう。
・少しでも効率を向上=災害ボラは無尽蔵にはいません。多くても1つの現場に10人以下、いわんや能登では、です。移動させるだけなら5名で組んでも搬出量は劇的に変わります。
・絆・チームワークを高める=これが一番の目的です。初見のボラ同士が仲間になる瞬間、時には被災者の方も一緒に、みんなでやる、という気持ちを繋ぐものなのです。
人数が少なく、狭い被災家屋の中で、しかも力も能力もバラバラの人同士が、どうやって「バケレ」をやるのか。それこそが、被災地バケレが「アート」と呼ばれる所以です。私は2011年以来、数百のバケレをやってきたのですが、コツは以下のとおりです。
・「頭」「尻尾」「繋ぎ」の3役を決める
始点でモノを作る(瓦を出す、泥をバケツに入れる)「頭」と、終点で出す(軽トラに載せる、置き場に整理する)の「尻尾」には、経験者かわかっている人を置く。数がいればここは2人がかりでも。
また、実は「被災地バケレ」で一番重要なのは、真ん中の人、「繋ぎ」です。この人は、列が曲がるところとか全体を見通せるところにいて、ペースを落としたり、バケツ内の量を少なくしたりなどの「声かけ」をします。司令塔役として真ん中にいて、細かく声かけし、盛り上げてください!
・「追いすぎない」「迎えすぎない」
「被災地バケレ」は人数が少ないので、ひとりの担当距離が長くなります。現場の状況にもよりますが、持ったまま5〜6歩は移動しても効率はそれほどかわらない感じです。ということで、最短3m、最長で10mぐらいはひとりで担当できます。各人の守備範囲を決めて、そこを動かないこと。人数が少ないとつい手伝ったり別のことをやったりしたくなりますが、「追いすぎない」「迎えすぎない」、「何か起こったら動かず声かけ」。共同性のためにやるのですから。
・各自の「力量」にあわせた列を。
バケレは「一番非力な人」に合わせることになります。例外は多いですが男性が好まれるのもそれゆえ。とはいえ贅沢は言えないのが被災地の常。各自が自分の力量を理解するとともに、仲間の力量も理解し、「そこは自分がやろうか?」「君はこっちをお願い!」のように力量に合わせた列を組もうと意識してください。一見でも同じ現場の支援仲間。仲間を理解し続けようという姿勢こそが「被災地バケレ」の醍醐味なのです。
「被災地バケレ」は、効率のためにのみやるのではありません。被災地において、「共同性」を高めるためにやるのです。だから、「アートとしての被災地バケレ」。共同性で能登を励ます意味でも、ぜひ多用しましょう。詳細ならノウハウもあるのでご質問ください!
活動報告 3月10日(日)
8:00 門前公民館のトイレ掃除
8:30 いつもの湧水汲み。ワンちゃん外出中。
9:00 黒島で泥だし。「アートとしてのバケレ」。岡本専務をこき使ってしまう(涙)。
13:00 ありんこの家の丸災、全処分! 「バケレ」第二陣。岡本専務、軽トラで大活躍。深謝。
18:00 博之さんの勉強会に出られず。能登町は遠すぎる…行きたかった…。
18:30 3号車、帰金。お疲れ様でした!
20:00 禅の里でしっぽりと将来構想。
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